やまんばの里山だより

vol.6森を再生する

写真:枯れ始めたコナラの大木

木を伐って、森を守る

およそ20年前から、マツが枯れはじめ、いまでは完全に枯れ果ててしまいました。そして、里山再生のチャレンジが続くやまんばの森に、今また新たな危機が起ころうとしています。 コナラ、アベマキやカシなどの広葉樹が枯れていくのです。これらは直接的にはカシノナガキクイムシという甲虫のしわざであることがわかってきました。

 

写真:カシノナガキクイムシの巣作りによって外に排出された木の粉

日本海側の地方から広がり、滋賀県では数年前から北部や西部地域にかけて、たくさんの広葉樹が枯れています。2ミリほどの小さな甲虫が樹に穴をあけて巣をつくるのですが、巣穴の中で樹を枯らすキノコを幼虫のえさとして育てるのです。よく見ると大きな木ほど被害を受けています。昔は木が大きくなる前に使われていたため、おそらく蔓延しなかったのではないでしょうか。これも、私達の生活と里山の関係が変わったことによって起きた森の危機といえるのではないでしょうか。

写真:枯れた大木を伐採する活動

ほとんどの木は枯れ始めると手の施しようがなく、枯れた木は伐るしかなくなるのです。森を伐ることは自然を破壊することなのでしょうか。いいえ、枯れ木やうっそうとした木を伐ることで、森にたくさんの命が甦ります。明るくなった森の地面には、ドングリから生まれた新しい命が芽吹きはじめ、生き物のエサとなる多種多様な草も生えてきます。こうして、森が再生していくのです。

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