岩の多く乾いたところにネズミサシを見つけました。この植物は大きくなることはありません。その葉はトゲトゲの状態で生えていて、さわるとチクチクと痛いため、この名が付けられたようです。昔、この地域ではこれを「ヒモロ」とよびました。火をつけても燃え上がらず、いぶしたように煙を出します。その煙を蚊取り線香として使ったことをお年寄りから聞きました。昔の暮らしには、里山に生える植物を様々な形で活用する知恵があったのですね。
クロモジの青い葉を揉んでかいでみると、クールミントのような爽やかな香りがします。大きな木にはなりませんが、この木の幹は、高級楊子の「くろもじ」になります。皮目に黒い斑点のある細い幹を削って作るのです。
現代でも茶道では和菓子をいただくときにクロモジの楊子が重宝されています。草餅など生菓子を切り分けるときにも使います。 クロモジのマイ楊子。乾くと爽やかな香りも消えてしまい、ほんの小さな木ぎれですが、自分で作ると愛着が湧いてきますよ。